出雲そば食べ歩き in 横田町

新そばを食べに横田町に行った。
島根県仁多郡横田町はスサノオ降臨の地で、ヤマタノオロチが住んでいた斐伊川源流「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)出顕之地」が山頂に立つ船通山の下である。
一説によればヤマタノオロチ伝説は、鉄穴流しで洪水を起こす製鉄業者と迷惑を被る流域住民の争いの話ともされている。
鉄穴流しの土砂は膨大なもので、川は天井川となり、河口の中海には平地が出来ている。国引き神話にもつながるかもしれない。
現在、唯一玉鋼を生産している日刀保たたらもあり、横田町はたたら製鉄の故郷の一つだ。
また、江戸時代から和牛の品種改良に努め、第七糸桜号を生んだ和牛の故郷であり、仁多米で有名な米の産地である。
出雲坂根の延命水に代表される、おいしい水の産地であり、そば通なら知っているそばの産地である。

松江の出雲そばの名店には横田町産のそばのみ使うと宣伝しているところもある。
実はここには古来より焼畑農業で栽培されてきたそばが伝わっている。
通常のそばより小粒で収量が少ないが、香り高くうまいそばだという。
そういうわけで横田町にそばの勉強に出かけた。



岡山ICから東城ICまで高速料金往復5,700円、東城ICから40kmほどでオロチループに着く。オロチループ手前の三井野原から観光地である。
讃岐ウドンを食べに香川県に行くのに似ていると感じる。高松からどのウドン屋に行くかによって異なるが、フェリー往復5,480円、片道2時間少々、差はガソリン代くらいだ。
東城ICからR314で北上し、島根県に入ると三井野原スキー場、ここからそば屋の旅が始まる。情報は道の駅奥出雲おろちループの壁に貼ってあるので必見だ。

車はループ橋、JRはスイッチバックで標高差をクリアする。
三井野原駅の次は出雲坂根駅、スイッチバックよりも有名なのが延命水だ。駅周辺は混雑しているので注意して通り過ぎる。
延命水を過ぎて300mも進めば右手に水汲み場がある。地元の方が提供している水汲み場で延命水と同じ水が出てくるそうで、混雑していないし道沿いで便利、名より実を取るならここだ。
出雲坂根駅の次が八川駅、八川そばがある。
昨年は行列が長くて入らなかった。今年も食べられなかった。次回は入りたい。
八川そばから500m程進んだ右手で、昨年同様、イベント会場があり、りんご大根植木とともに小八川婦人部のそばが出されていた。
小八川婦人部はそば本に紹介されているそば職人である。この地のそばを食べるなら是非はずせないところだ。目の前で粉からそばが出来ていく。

 

割子三枚600円、郷土料理の出雲そば、不揃いの幅、高い香り、強い腰、そばだけ食べるとそばのうまさがはっきりわかる。

大満足して目的地山県そばに向かう。
山県そばは横田町山県にある。場所は下図の通り。


着いてみると下の道にマイクロバスが停まっている。駐車場も満車に近い。人気店である。



釜揚げと割子2枚のセットにそばがきが付いてくる。どれもうまい。
そばの色は白く、香りはさらに良い。特筆すべきは口の中の感触である。ツルツルした蕎麦は食すと快感。洗練されたそばだ。
釜揚げはもっちりとした食感、そばがきはとろける食感だった。大変おいしいそばである。

2軒続けて食べると満腹してしまったので、腹ごなしにカツラの木を見に行く。
白骨温泉で出会って以来、カツラの木が好きである。 カツラの巨木があると聞けば行かねばならない。
ヴィラ船通山の向かいに案内板がある。徒歩600m程。丁度よい散歩道だ。道は整備されている。倒木で危険な箇所もあるが、なんとか越えて進むとカケスが鳴く。里に降りてこない警戒心の強い鳥というが、大きな姿を見せて飛ぶ。にぎやかな声だ。
尾根筋を曲がると木が見える。一目でわかる大きさだ。



残念なことに真ん中の主木が枯れてしまい、周囲だけになっている。

散策終了し、3軒目に向かう。
出雲横田駅前の朝日屋は営業終了、八川そばも営業終了、一風庵は午後4時まで開いている。
一風庵でも粉から作ったそばを食べた。限定販売の地元野そばを食べたかったが、この時間だから仕方ない。
そばがきも注文した。
ここも洗練されたそばだ。
満足して帰途につく。木次バスチャライズ牛乳を買う。クリーミーでおいしい牛乳だ。
ブラウンスイスの濃厚な味わいだ。
地元には、横田牛乳というものもあり、さらにうまい。
美味は幸せな笑顔を作る。こんな牛乳を毎日飲めるのは幸せだろう。

東城ICから新見、北房を経て岡山道経由で帰る。
新そばなら草間のカタクリ庵にも行かなきゃならぬ。豊平町のそば祭りはこの週末である。されど、山県そばはまだ食べたい。そば行脚は続く。


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