日野川2007鮭遡上見物

 2007年秋、鮭遡上を見るために10月末から三週続けて鳥取に出かけた。

 10月27日、雨で増水した倉吉の天神川は濁って何も見えなかった。天神川の西、コナン大橋が架かる由良川も何も見えない。風は強く波は防波堤を越えて流れていた。
 11月4日、昨年、因幡大橋付近で見えたらしいので鳥取市内の千代川を源太橋下から八千代橋上まで約4.5km下ってみる。影も形もなく、時期が早過ぎたかもしれないと思った。

  
 しかし、後日、天神川鮭遡上観察会で鮭の姿に歓声があがったことを知った。10月下旬には丹後の由良川で鮭が確認されたとか。確実に鮭は帰ってきている。
 11月10日、再び天神川へ行く。
  
 小鴨川と合流した辺りから観察会が開かれた新田橋付近まで1.5km程の川の中を端から端まで探したが、秋景色以外何も見えなかった。
  
 ただ、川床にいかにも鮭が掘り返したような跡があった。
 
 あきらめて西進し、日野川に向った。皆生大橋の1km程上流、新日野橋の200m程下流に堰があり、鮭は増水時以外上れない。

 堰の下に日野川漁協と多くのボランティアの手によって鮎の産卵場が作られている。
  
 河床をならし、テグスを張り巡らせて鳥を防いである。川底には無数の鮎が横たわり、産卵を終え息の絶えそうな鮎がフラフラ泳ぎ流れている。
 空には多くの鳥が舞い、川面の鮎を捕まえては飛び去っていく。鮭はいないかと川を見るが、まったく見えない。
 鮎の死体の先にビニールゴミのようなものが沈んでいる。鮭の死体かと思ったがやはりゴミに見える。でも、鮭かもしれない。中州の向こうで鮎師が竿を振り、投網を持った漁師が数人いるが、カメラを持って艇を浮かべた。
 鮭だ!ついに鮭の影を見た。
 
 川底を見ながら鮭を探して漕ぐ。2匹目の鮭の死体発見。
 
漕ぎまわりたいが、中州の対岸には鮎師、下流200mには漁師が二人川の中に立っている。
 上流は水面にテグスを張り巡らせた産卵場。仕方なく50m×100m程のゆるい流れの中をくまなく漕いだが、何も見えない。
  
 岸に向うと産卵場に鮭がいると騒いでいる。投網は鮭用で漁師が鮭を捕っているのだ。
 上流に向うと釣師の下の流れの中に背びれが見えた。大きな鮭だ。近づいてみるが何も見えない。
 そうこうしていると鮭が捕まったようだ。上陸して日野川漁協の方に話を聞いた。捕まえた鮭は川の中の生簀に入れて、人工授精施設に連れて行くそうだ。
      
 漁師は波の形を覚えており、鮭が通ると波の形が変わるのでそこに網を投げるのだ。バシャバシャいってる波を見て2匹いるとか3匹いるとか話している。下流の漁師は名人で闇夜に上る鮭を投網で捕まえるとか。
 
 話を聞いて川を見ていると鮭が見えてきた。
 川の中の鮭は見えない。魚体は背びれくらいしか見えない。産卵で川底を掘るときは見えるが、泳いでいるときには見えない。 今まで見えなかったわけがわかった。 漁師でも見えない。しかも、漁師が捕まえるので泳いでいる鮭は少ない。死んだ鮭も少ないはずだ。 鮭遡上見物カヌーはツーリングじゃなく川原宴会スタイルで臨まねばならない。 親切な日野川漁協の方々に感謝し帰途についた。

 それにしても山から下る鮎と海から上る鮭が同じ場所で産卵するとは知らなかった。
 他の川でもそうなのか。旭川でも産卵を終えた無数の鮎が横たわる場所があるのか。たまには河口までくだってみなきゃわからないことがあるようだ。


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