「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

35  <初漕ぎ2009顛末記>

  
 1月11日の初漕ぎの日は何の因果かこの冬一番寒い朝だ

った。京橋朝市会場8時出発の岡山神社へのカヌーでの水路か

らの初詣に参加するためには、朝市の始まる6時以前にカヌー

装備を積んだ車で河川敷朝市会場奥の駐車場スペースに入っ

ておかねばならない。そうしないと入れなくなるからだ。そのた

めには、至近距離に住んでいるとはいえ、5時半過ぎには我が

家を出発しなければならない。となると、4時半頃から起き出し

てゴソゴソ始めていた。

 暗く寒い中、朝市会場に着いて見ると、いつもなら既にかなり

の車や人で賑わっている筈のところであるが、閑散としていて、

いかにも寒い感じだ。出店数がやけに少なく、その分、照明が

少なく暗い。岡山カヌークラブの定位置辺りも暗くテントも未だ

無い。奥へ奥へと進み、車列の一番奥へ車を置いて戻ってみる

と、テント張りが始まっていた。テント内には、焚き火・豚汁・甘

酒・コーヒー・お茶や、風邪で参加を断念した居酒屋「笑売亭(ゆ

とりてい)」藤本氏差し入れの河豚の味醂干などが清流部主導

でテキパキと準備される。この日の寒さは、これらの暖かい物が

無かったら、耐えられなかったと思われる。

  
 例の8人漕ぎの双胴艇は有志により前日から準備され、潮の

満ち干で座礁しない様に少し沖に係留されている。これには、

京橋朝市とアセンテの旗が2本ずつ立てられ、風にたなびいて

いるが、目立つ大きな日の丸の旗と「岡山カヌークラブの旗」が

欲しいところである。一段落ついたところで、私は徒歩で家に帰

り、大きな日の丸の旗を持って来て、取り付けて貰った。白地に

赤い「日の丸」が加わると、「パッと派手になって良いなー」と自画

自賛。

  
 この日は、この他に、アセンテ大山特製・世界初?の「カナデ

ィアン・カヌー2艇を横に連結した双胴艇」も進水した。この艇の

連結部に置いたスノコ板の上にバーベキュー・コンロを置き、焼き

鳥などを水上で参加者に振る舞ってくれたのは実に良かった。こ

んな楽しみ方もあるのだとつくづく感じ入り、水上からの花見や、

花火見物に恰好の仕様と思えたがどうだろうか。

  
 さて、この日の総勢20人程が揃ったところで今年初顔合わ

せの挨拶を交わし、出発である。双胴艇が2艇もあるので、これ

だけでも12-13人乗れてしまう。結局私は、折角早起きして

無理して運んだ自艇には乗らず、8人漕ぎ艇に乗り込んだ。こ

のFRP製の艇に乗り込むのが中々厄介だ。足の置き場を考え

て体重を懸けないと割れるのだ。我々がいきなりレーシング

艇に乗っても1-2秒で沈してしまうのが普通である。達

人・アセンテ大山氏からしてそうであった。しかし、この双

胴艇の安定性は強固で、艇上で立っても問題無く、壊れない

限り沈は無いだろう。この艇は一人だけで乗って漕いでも、

ゆっくりにはなるが、十分安定して取り回しが出来る。8人

で漕いでパドルが揃うと直進は驚くほど速い。

  
  
 持参の自艇に乗った者も数人いたが、ベテランの角南氏が

川岸から乗艇しようとしていて足を滑らせ、イキナリ沈して

しまい、この寒い中でズブヌレになってしまった。この時、

多くの者は既に乗艇しており、双胴カナディアン艇から焼き

鳥を振る舞われている最中だったので、目撃した者が少ない

のが残念ではある。証拠写真も無い。彼が全部着替える間、

暫し待ったのは勿論である。

  
 咋年暮れから、後楽園の岡山城側護岸工事が石組による近

自然工法で進行中であるが、この前を漕ぎ上って月見橋を潜

り、岡山神社直近の岸に着けて上陸した。この時、達人の津

下氏が川上から忽然と現れて合流。新大原橋下から単独で下

って来たと言う。「マジーッ!」と、これには一同唖然とし

てしまった。大きな日の丸の旗竿を担いだツルツル坊主のキ

ンタ藤沢氏を先頭にした、怪しい出で立ちで岡山神社に参拝

し、境内を闊歩する我々集団の姿は、余程異様であったので

あろう。話しかけても人は逃げて行く始末。

  
      

 岡山神社からの帰途、進行中の8人艇の直前中央に位置し

た熱血漢・大西氏が「一寸試させて下さい」と言って、何を

するのか一同把握出来ていないままに、いきなりロールをし

て前側の連結バーをかわして、双胴の間の水面に入って来た。

大成功!拍手―ッ! カヌー遊びをやる人は皆何処か変わ

った所があると私は思っているが、彼もヤッパリ。でも、こ

れを思い付いたからには、やらずには居れない彼の気持も判

らないではない。

  
) テントで大休止後、川下の国道2号線より少し川下の住吉

宮まで往復するシーカヤック4艇5人と、漕ぎ手の入れ替

わった8人漕ぎ艇が10時半過ぎ出発した。この日の早朝は

寒かったが上天気であったが、この時刻になると雲って来て

おり、風も出て来ていた。67歳間近の老人の出る幕ではな

いと判断して、私はこれには加わらず、テントで待つことに

していた。風が次第に強くなり、時々テントが浮く感じにな

り、飛んでしまうと危いので、テントの横幕を外さざるを得

なかった程である。おかげでテントの内も外もなくなり、吹

き晒しで寒くなってしまった。川下の水上の艇は、行きも帰

りも向かい風・横風を受け、大変であった上に、クルーザー

の発する大波を受け、これが8人漕ぎ艇のコックピットに入

り、お尻が水にヒタヒタし、冷たくて堪らなかった由で、テ

ントに帰って暖かい物を食べ、焚き火に当たり、やっと人心

地ついたという。こんな初漕ぎを終え13時半には解散した。

  
 大した労作をした訳ではないが、何だか疲れてウトウトし

ていたら、16時頃だったと思うが、角南氏より18時から

民芸居酒屋「あまのじゃく」で新年会をしようと云う事にな

った旨の知らせがあった。十数人が集い、何を話したのかも

う覚えていないが、22時過ぎまでワイワイ楽しく騒いで終

った1日であった。

                          (2009/01/24)




前のコラムにジャンプ

@のコラム    Aのコラム    Bのコラム    Cのコラム

Dのコラム    Eのコラム    Fのコラム    Gのコラム

Hのコラム    Iのコラム    Jのコラム    Kのコラム

Lのコラム    Mのコラム    Nのコラム    Oのコラム

Pのコラム    Qのコラム    Rのコラム    Sのコラム

21のコラム   22のコラム    23のコラム   24のコラム

25のコラム   26のコラム    27のコラム   28のコラム

29のコラム   30のコラム    31のコラム   32のコラム

33のコラム   34のコラム
inserted by FC2 system