「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

A<ゴールデン・ウイーク>

 例年私のカヌーシーズンが始動するのはゴールデン・ウイーク

の少し前頃からであるが、歳と共にダンダン遅くなって来ている。

例年ゴールデン・ウイークには仲間と共に遠出している。皆大し

た技量のない輩ばかりなので、振り返って見ると、山口県の岩国

で瀬戸内海に流れ込む清流・錦川に何度も行っている。穏かな

割には流れは結構速く、水が綺麗で、この時季には川岸のツツ

ジが美しい魅力的な川である。

 

 計画を思い巡らすのは、面倒ではあるが結構楽しい。一番問

題なのは天気である。大勢で行こうとすると、計画を早くから立

てないといけないので雨に遭う可能性は高まってしまう。

 何年も前の事であるが、10余人で錦川下りを計画していた。

ところが、天気予報が、決定的ではないものの、西から怪しい気

配になってきた。天気予報のパターンは違わないまま、1日ない

し半日くらい前後にずれる事はよくあるので、こちらの天気が

至極良好なため、中止するかどうか決め得ないまま予定前日に

なってしまった。こちらの天気は良好で、岩国の知人に電話で当

たってみても悪くは無かったが、天気予報を信じて前日昼過ぎ

に中止を決断した。「こねーに、えー天気のに、ナンで中止する

ンなら」と皆不満気であった。不運にも、当日もこちらは良い天

気であった。後日、この日に岩国辺りの山陽自動車道を走ってい

た製薬会社のMRから、物凄い豪雨で前方が見えなくなり、危

なくて走れなくなり交通は止まってしまい、エライ目に遭ってし

まった事、錦川は大増水した事を知らされ、胸をなでおろした

事が思い出される。遠方の天気は別物であるとつくづく感じさ

せられたものである。

 錦川の場合、ゴールデンウイークで気をつけておく必要のある

のは、「岩国米軍基地開放デー」である。例年5月5日に開催さ

れているが、これに出遭うと、時間帯によっては、山陽自動車道

の岩国出口付近の左端レーンは長蛇の車列となり、1時間1キ

ロのノロノロ運転で、予定が大幅に狂ってしまうと云うことであ

る。私はこれに遭遇してウンザリした体験がありながら、ウッカリ

失念して、2度もこれに巻き込まれてしまっている。しかし、川

下りとは別に、人気絶大なこのイベントに参加するのも面白いと

思う。今年も、自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルー・インパ

ルス」のショーが予定されているようである(末尾註)。

 昨年は、60歳前後主体の医者ばかりの集団で出掛けた。晴

天に恵まれ、流れも綺麗で快適で、ツツジも美しく、最高の一

日であった。

 

 

 さて、錦川下りで最も思い出深いのは、福山で勤務していた随

分前のことになるが、何時もの仲間の秋岡達郎氏と川口健太

郎氏と私と若いナース2人の5人での計画である。当日午前6

時に集合地の山陽自動車道の福山サービスエリアに行ってみる

と、秋岡氏は緊急手術、川口氏は気の向かない急な接待ゴルフ、

ナースの一人は手術が長引き睡眠が取れていないと云うことで

参加しないと判明。Mナースと私の二人きりになってしまった。そ

れでも、折角朝早くから出て来たのであるからと、車2台を連ね

て錦川に行き、中流を別々の艇で快適に下って、帰途に就いた

のである。後から先行しているMナースの運転を見ていると、

時々グラグラッとしているのに気が付いた。次第に頻度が増え

て行く。これは危ない!居眠りをしているに違いない。直ちに追

い越して最寄の福山サービスエリアに誘導した。ヤッパリ居眠り

運転をしていたのである。聴けば、昨夜は勤務が長引き、2時間

しか寝ていないのだ。


M 「センセー。私、寝たーいッ!」

私 「(ドキン!としつつ)・・・・・・・・」

M 「もう福山なので、此処でしばらく仮眠して帰ります。」


翌日、病棟で訳知りの中年ナースが、私の前で彼女に諭した

ものでした。


「Mちゃん。ネタイとネムタイは違うンよー。言葉を間違える

と、男はウロタエルからーッ!」


通常時の錦川は実に良い川です。未だの方にはお勧めです。

   
註: 「Friendship Day 2006」ホームページ参照

     http://www.mccsiwakuni.com/friendshipday/

                    (2006/4/6)



前のコラムにジャンプ

@のコラム    Aのコラム    Bのコラム    Cのコラム

Dのコラム    Eのコラム    Fのコラム    Gのコラム

Hのコラム    Iのコラム    Jのコラム    Kのコラム

Lのコラム

inserted by FC2 system