「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

<お花見>

 最近は嘗ての様に寒い中を漕ぐなんて事はもうしなくなった。膝が痛む

とか、肩が痛む(40肩、50肩、60肩などと言わずに「オノオノガタ(各々

肩)」と統一することを私は提唱している)とかで悩まされ、「身体のあち

こちにガタが来だしたな」と感じる様になったと思ったら、64歳になってし

まっている。それでも今年の元日は穏やかで暖かかったので、カヤックを

持ち出して漕いでしまった。「漕ぎ初め」は2日にやるべきであろうが、翌

日の好条件の保障は無いので、天気が良く条件の良い今やっておこうと

云う単純な決断である。拙宅直近の後楽園周辺を唯一人で30分程一

気に漕いで終わった。漕ぎ納めと云うか、この冬初めて漕いだのが12月

29日だったので、今年最初に漕いだと云う感じは余りしなかった。とはい

え48歳から始めて上達のないまま16年になるカヌーであるが、元日に

漕いだのは初めてである。情けない事には、その後は未だ1回も漕いで

いない。

 さて、数日前からTVの天気予報で桜の開花予報が見受けられだした。

梅の開花が先行して日本列島を北上し、遅れて桜の開花が早いスピード

で北上し、例年は北海道で桜が梅に追いつくところ、今年は梅の開花が

遅れており、関東地方当たりで追いついてしまい、梅と桜が同時に咲く地

域が広がるのだそうだ。これに桃の花が加わる事になるだろうから、間も

なく例年とは多少調子の違った、梅桃桜と濃淡色調様々のピンク・シーズ

ンの到来である。

我が家にも桃の花の木があり、毎年濃いピンクの花を咲かせる。旭川

土手を散策する人の多くが思わず立ち止まり、桜より派手ながら可憐で

美しい我が家の桃の花を楽しんでいく。今年も芽吹いており楽しみだ。桃

は咲き始めが良い。満開になると大味な感じになってしまう。

 桜に関しては、私は例年後楽園近傍の桜をカヌーから眺めている。花

見客でゴッタ返している中、後楽園東側の「桜カーニバル」会場の中を貫

く水路を、一度だけ川上から川下へ漕いで通り抜けたことがあるが、あ

れはお勧め出来ない。桜は見えない上に、汚いこと臭いこと、全くのドブ

で、ウンザリする。

 一番感動した桜は、「川下りは楽し」(p.11の写真)で紹介しているが、

JR備中広瀬駅の少し川下で、高梁川東岸の山の斜面にある桜林である。

国道180号線を車で走ったのでは、道路はウネクネしているしJR伯備線

の上の急斜面なので中々見付けにくいと思う。私が勝手に命名している

高梁川「石庭」で、艇上から驚きをもって発見して愛でるのが正解であ

る。

桜の木は山の中であんな風に群生して桜林になっていることは無い。

あれは「ソメイヨシノ」の人工林であって、桜好きの山の持ち主が自力で手

間ひまかけて立派に仕上げ、シーズン中は望む人には桜林の中に入れて

持て成していたと伝え聞いている。あの写真は1991年頃撮影した物で

あるが、その前後頃持ち主が亡くなられたため、その後は手入れされる

事も無く放置され、荒れるに任せて長年月が経ってしまっていると云うの

が私の認識である。私はこの時季には漕いだとしても、後楽園付近のみ

なので、ここ何年も桜の時季には「石庭」をカヌーで下っていない。あの

感動的なソメイヨシノの桜林が、今どんなになっているのか私は知らない。

(2006/3/11)

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