「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

54 <「暑い夏」>

 

 こんな暑い夏が過去にあっただろうか?世界中で気象の箍(たが)

が緩んで調子が狂ってしまい、洪水・干ばつ・災害に繋がり大変だ。

「晴れの国・岡山」南部では雨無しが延々と続いている。

 この歳になると、こうも暑くては、水の上で干乾びてしまいそう

で、川へ行く段取りに取り掛かる気持ちを削がれてしまう。そんな

訳で、この夏は殆ど川に行っていない。とは言え、今年で第5回目

となる恒例の「吉井川カヌーマラソン」には参加した。

 もう何年もカバーにくるんだ儘ほったらかしで、シ―カヤックに

乗っていない。会場は静水である事を考えて、艇のクリーニングが

てらシ―カヤックで参加することにした。

 早朝、家の脇に置きっぱなしのシ―カヤックの包みの端を拡げか

けた途端、ウワ―ンと蜂が沢山飛び出して来た。足長蜂だ。ビック

リして、大慌てで逃げた。刺されてはいない。キンチョール・スプ

レーがあったのを思い出し、これを武器に格闘して何んとか蜂を退

治した。包みを開けてよく見ると大きな蜂の巣が落ちており、艇尾

近くの艇底に着いていたと思われ、スケッグ溝横の艇底から柄の様

な突起が出ている。少し前方にもう一つ小さい物も見える。
  
  
 妻に助けて貰って、重くて長い艇を何とかルーフキャリア―に乗

せ取り付けた。蜂との戦争もあり、此処までの作業で汗ビッショリ

である。シャワーを浴びて、寛いだところで朝食をとり、8時出発。

車長の10%を超えて艇が後方にはみ出ているので、警察で手続き

をとり、艇の後端に赤い布を取り付けておかなければならない。以

前使っていた赤い布が見付からなかったので、如何したものかと思

案の末、艇の両端の運搬用取手が太い綱に短い筒状の棒が付いた物

だったので、日ノ丸の小旗の柄を筒に通してガムテープで留めて代

用した。これが実に綺麗に風にはためいて、良く目立ち、中々の物

だ。ルームミラーで見た後続のタクシー運転手がこれを見て笑って

いた。
  
 最寄りの警察署に出向いた。署屋に入ろうとすると、「モシモーシ。

モシモーシ」と後から声を掛けられた。「どんな要件ですか?」と緊

張した面持ちの若い二人組警官が問うので、「積載物の長さオーバー

の手続きに来ました」と答えると、急に緊張が解れ、「日の丸を付け

ているので、右翼の方かと思いました」と漏らす。世の中って、そ

んな風に見るの!? この新人は「土日は出来ませんよ。平日に出

直して来て下さい」とノタマウ。「平日にゃぁ、遊びーは行かんでぇ。

遊びー行くなぁ土日なんじゃけぇ、土日にして貰えにゃー意味が無

ぇが!今迄も、土日祭日に何遍もやっとるよッ!」と、控えの束

をドバッと見せたら、調べて見ますと言って結局やってくれたが、初

めてのこと故にだろうが、物凄く時間が掛り、ウンザリだ。

 一般にはこの手続きをしている人は少いが、万一に備えると言う

観点からは、正式には行うべき手続きである。事故に遭遇した時に

は、手続きをしていないと、相手に付け入る口実を与えることにな

る。保険と同様、通常は無用に終わると言ってしまえばそれまでで

はある。
  
  
 さて、吉井川カヌーマラソンは5回目の節目なので、岡山カヌー

クラブとしては大いに盛り上げるべく努力がなされており、又、会

場に張ったテントで「前夜祭」と称する泊まり込みの酒盛りも行わ

れた様であるが、全体の雰囲気は今一で、酷暑も災いし、当日の参

加人数も多くはなかった。今回は500メートルを3往復する3キ

ロメートルのレースで、私自身は4位であった。熱中症も危惧され

る余りの暑さに、その後のプログラムを取りやめ、昼迄で終わった

のは賢明であった。私の艇は洗って綺麗になった。
  
 私の車の後のナンバー・プレート右横に濃ピンク色の物が見える。

これは、当ホームページ表紙にも掲示されているのと同じ物で、「岡

山カヌークラブ」の「ロゴ・マーク」である。会員の御子さん制作

と教えられているが、20余年使われている伝統のマークである。

会員で入用の方は通称「キンタさん」に申し出て手に入れ、大いに

貼って頂きたい。
  
 ここ数年、毎年夏休みには、孫達にジジは期待されているので、

今年も頑張った。盆の一日は、午前中先ず高梁の高梁川でカヌー遊

びをした後、早目に昼食をとり、午後は車で小1時間走って、鍾乳

洞「満奇洞」やナチュラル・ブリッジ「羅生門」など涼しい所で遊

び、夕方には92歳のヒババを見舞い、夜は松山踊り・夜店を楽し

んだ1日で、私は結構疲れてしまった。
  
  
  
 さて、この暑い夏、スカッとした気分にさせてくれるテレビ番組

が8月22日放送された。NHKの人気番組「アインシュタインの

眼」で「カヤック」が取り上げられたのである。NHKならではの

撮影機材・人・資金を注ぎ込んで特殊撮影し、科学の眼で魅力・危

険に迫ろうとするものである。達人の前方空中1回転のアクロバッ

トや滝落ち等は超高速度撮影のハイビジョン映像が実に見事であっ

た。両腕を上に挙げた滝落ちしか見た事がなかったが、攻める姿と

言うか、セットの姿と言うか、迫力の滝落ちであった。清流を下る

カヤックの「癒し効果」にも科学の眼が迫っていたのは興味深かっ

た。写真はテレビ画面をデジカメで写したものであるが、私の背後

の明かりが写り込んでいる。再放送も既に2回行われており、今後

も総合や教育など地上波でも再放送があるものと期待される。
  
  
  
 昼間は相変わらず暑いが、ここの所、夜はかなり過ごし易くなっ

た。しかし、最低気温がそんなに下がっている様でもない。いずれ

にしても季節は移ろう。子供達は新学期が始まる。台風は気になる

が、カヌーで遊ぶに良い季節である。





                 (平成22年8月29日) 


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