「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

48 <「石見神楽」>

 

 2月13日。バンクーバー冬季オリンピック開会式をテレビで観

た。始まりから、4本のトーテムポールが立ち上がり、色とりどり

の鮮やかな盛装を着けた先住民集団のダンスを前面に出した、中々

良い演出であったと思う。カナディアン・カヌーも出てきたし、後

半にはタップダンスもあって、私には楽しめた。ただ、歌が多すぎ

たのと挨拶が長過ぎたのが難点ではあった。

 先住民の華やかなダンスを観ていて、私は何故か「石見神楽」(い

わみかぐら)を思い出していた。元を辿れば同じモンゴロイドの舞

いや踊りなのである。何か相通じるものがあっても不思議ではない。

私が思い出したのが、「備中神楽」ではなくて「石見神楽」であった

のは、その華やかな衣装と動きの激しさの故であろう。これは、「石

見」がより朝鮮半島・大陸に近いからなのであろうか。

 私が子供の頃は近くの神社の祭りでは、備中神楽が明け方まで舞

い続けられていたのを覚えている。「猿田彦の命」(さるたひこのみ

こと)、「岩戸開き」、「国譲り」、「大国主の命」(おおくにぬしのみこ

と)、「素戔鳴の尊」(すさのおのみこと)、「八俣の大蛇退治」(やま

たのおろちたいじ)等々、懐かしい言葉の数々である。今は国の無

形文化財に指定されており、文化行事等々で演じられたりしている

ので、圧巻「八俣の大蛇退治」は御覧になった方も多いと思う。

 さて、演目は同様ではあろうが、「石見神楽」の衣装のきらびやか

さ・派手さ・動きの激しさは一見に値すると思う。とにかく、備中

神楽に馴染んだ者には驚きである。私は何度か石見神楽を観ている

が、何れもカヌー・イベントの前夜祭での出し物としてである。 写

真は、この時石見神楽の衣装を舞台の上で着せて貰った時の物であ

る。

 

 十余年前頃、私は「江の川」(ごうのがわ)中流の「大和(だいわ)

村」主催の「江の川カヌー・リバー・ツーリング」に殆ど毎年参加

していた。この地域で最初にカヌーに取り組んだ自治体は島根県の

邑智(おおち)町で「カヌー館」を造っている。次いで、川上隣の

島根県の大和村であった。その内に平成の合併で大和村が邑智町と

合併してしまい、大和村のカヌー装備は総べて邑智町施設に移され、

旧大和村のカヌーは消滅してしまった。これを受けて、大和村の川

上隣の広島県「作木村」が「江の川カヌー公園さくぎ」をベースに

カヌーに取り組んでおり、毎年「プリオン・カップ」が開催されて

いる。数年前、この村は三次町と合併し「三次市」の一部となって

いる。そのため、嘗ては「作木村のメイン・イベント」であった「プ

リオン・カップ」は、「三次市の数あるイベントの一つ」と云う自治

体の認識に成り下がってしまったと聞き及んでいる。

 さて、今、この「石見神楽」に魅せられて、はまり込んでしまっ

た人が岡山カヌークラブの仲間にいる。何度も「津和野」へ「石見

神楽」を観に通う中で、備中神楽とは一味違う「この素晴らしい石

見神楽の舞い」を、岡山の人にも是非見て欲しいと云う思いが燃え

上がり、一社中を招聘して、実費のみで、岡山での公演を企画して

しまったそうである。公演予定は下記の通り。石見神楽を格安で鑑

賞出来るチャンスです!鑑賞に行こうではありませんか、皆さん!



“石見神楽”公演(仮称)(詳細は近日中に当HPに掲載予定)

  平成22年4月17日(土)10時20分〜15時頃

  天人山文化プラザ(岡山県立美術館隣、旧・岡山文化センター)

  入場料:当日¥1300   前売り¥1000

  (090−2298−2917 山口典子さんまで)



                 (2010年2月18日) 


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