「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

40  <「吉井川の2日」

      〜 吉井川ツーリングと吉井川カヌー・マラソン〜>
  
 6月13日(土)の吉井川下りは、天気は上々であったが、水位

が低く川下りが出来るのは吉野川との合流点以下という事になった

様で、私にとっては新しい区間ではなく、唯一の経験と同じ区間で

あった。今回は参加者が少なかったが、津山からの新しい仲間2名

がカナディアンで加わり、総勢12人10艇であった。「今回は人数

が少ないので、一言ずつ」と今回のリーダー・角南氏の発声で自己

紹介を一巡したのは良い思い付きであった。

  

 両川合流点の川上側突端からの出発も前回と同じであった。11

時半頃出発。前回はスッと流れに乗れた筈であるが、今回は水位が

低く、乗艇したら即座礁で、キチンと水に浮かぶ迄に随分労作を要

した。流れに乗るなり牧場で感じる様な糞尿の嫌な匂いがプーンと

匂って来た前回の体験に基ずくある種の覚悟が、あの時一緒に体験

した清流部の面々にはあったが、風向きのせいなのか環境改善がな

されたのか、これは全く裏切られ、この匂いに悩まされることが全

く無かったのは清々しくて実に良かった。
  
 嘗ては高瀬舟の難所で高瀬舟を通す直進の瀬が付け加えられてい

る右岸をかすめる「苦木(にがき)の瀬」の少し前で昼食休憩をと

り、自己制作のシーカヤックで参加の某氏艇を囲んでの楽しい談笑

の一時もあった。

  

「苦木の瀬」を含む瀬でことごとく沈を繰り返し、心行くまで吉

井川の洗礼を受けたカナディアン艇には、クルーの意思とは無関係

に岩の方が接近して来て、やむなく乗り上げてしまったのだそうで

ある。防水パックに入れていたはずのデジカメが使えなくなったそ

うで、お気の毒であったが、怪我が無く無事だったのを良しとしよ

う。
  
 2時半にはツーリングを終え、瀬戸町大内に移り、3時からは、

翌日の吉井川カヌーマラソンの会場設営準備に合流する予定であっ

たが、車や艇の回収作業を終え、佐伯橋下のゴール地点で解散した

のが17時前。準備は終わっているだろうから、一応寄って、「御苦

労さま」と声だけ掛けておこうと言うリーダー・角南氏に従って行

ってみると、待っていて下さった由で、作業はこれからと判明。日

暮れまで作業に勤しんだ。

  

 明けて14日(日)の「吉井川カヌーマラソン」は今回で4回目

になるが、岡山国体のレーシングカヌー会場として整備された、瀬

戸町のJR万富駅・キリンビール工場と国道2号線の中間辺りの、

吉井川下流河川敷施設で例年行われて来ている。
     
 開会式の最中にカメラが突然不調となり、以後の写真が無いのが

残念!

 今年の参加者は総勢20人と少ない。今回は、例年の各自の持参

艇による「4キロレース」の他に、新しい試みとして「ワンメーク・

レース」と称する、主催者側で用意した同一仕様の艇とパドルを使

って、同じ条件で300メートルのタイムを競い、正味の力量を競

うレースを追加している。



 これが実に面白かった。ところが、ストップウォッチが1つしか

無く、ゴールが錯綜する5艇レースのタイムの詳細な測定が難しく、

アバウトな計測になってしまった。特に最初の組では、不手際とい

うかモタついて着順しか記録されず、罵声が飛び交い、再レースが

行われる破目になった。おかげで、死ぬる思いをさせられた方々に

はお気の毒であった。このレースを通して、「レーシングカヤックが

速いのは、力量ではなく艇が速いのだ」という事がよく分った。し

かしながら、レーシング艇に乗るのは常人には至難の技で、私が達

人と思っている方々でさえヨタヨタの千鳥足、ましてや常人が初め

て乗ったら沈までに2秒とはかからない事を思うと、ヤッパリ「レ

ーシングカヤックが速いのは、力量だ」と言うのが正しい!

 色々な事をやってのける達人の姿もあった。達人・津下氏が大掛

かりなポータブルのBBQ施設を軽トラックで運び込んで組み立て

るなどは驚嘆に値する。何んと、レンガ100個である。「3匹の子

豚」を思い出してしまった。私も御相伴に与ったが誠に美味!
  
 県立御津高校に進み、施設・指導者・環境に恵まれ、カヌー選手

として活躍中の柴田さんの一回り逞しくなった姿に接する事が出来

たのは嬉しかった。彼女はワンメーク・レースにも最初の組で出場

し、ポータブルBBQ・津下氏に敗れ2位であったが、前述再レー

スでは若さの故に優勝している。事務局・妹尾氏は「国体予選を1

週間後に控え、リバーカヤックを漕いで、柴田さんのパドリング・

フォームが崩れては……」と危惧したり、彼も心中あれこれ忙しい

ことだ。

 今回のカヌーマラソンに参加して楽しくはあったが、数年前カナ

デアンカヌーに乗れ丈の大勢が乗って艇を沈めた時の様な、何か「爆

発するようなインパクト」が無い様に感じられる。今後の課題は参

加者を増やす工夫を如何するかである。
  
            

                          (6月22日) 




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