「川下りは楽し・余談」

「川下りは楽し・余談」　　 by 　別宮　博一

３９　＜「私のゴールデン・ウイーク２００９」百閒川フェスタ～九寨
　　　　　　溝・黄龍旅行～旭川ツーリング＞
　　

　ここ数年はフルタイムでは仕事をしていないので、一寸休日を追

加するとすぐに連休になるため、今年のゴールデン・ウイークには

我ながら驚くばかりの長い休みをとることが出来、お陰で色々楽し

めた。

　先ず４月２６日（日）の「百閒川フェスタ２００９」の岡山カヌ

ークラブによる「カヌー体験試乗会」からである。昨年はルート６

６の旅に出掛けて参加していないが、クラブ会員が協力して、それ

ぞれのプロフェッショナルな技と資材を投入して、資材の調達・運

搬・船着き場の設営・撤去などをテキパキとこなす様子は、全く違

う職種の私の眼には新鮮な感動の連続であった。「ヤンキー」とか言

うロープワークなどは、以前から時々見掛けるものではあったが、

私には神技の様に思え、どうしてスポ抜けないのか未だに不思議で

ある。これを鼻歌交じりにやってのける面々が大勢居るのは誠に心

強い。
　　

　この日は朝から曇りで風が強くて寒かったが、９０人に及ぶ大勢

の試乗客で賑わい、かなり待って貰う場面もあった。車椅子の方の

参加もあったのは嬉しい。　例年１人位は沈（転覆）する人がある

が、強い風で寒い中、今年も小学生が１人転覆して汚い水で全身ズ

ブ濡れになった。たまたま近所に住んでいる子供だったので、直ぐ

に車で送って行ったのであるが、風で寒い中、遠くだったら如何し

たものか。
　　

　最後の仕上げは、環境浄化に少しでも寄与しようと、付近水中の

ゴミの清掃である。普段陸からは取り除き難いゴミをカヌーを使っ

て皆で漁ったわけである。収穫は御覧の通り。そもそも、こんな物

を川に捨てるなと言いたい。
　　

　話は飛ぶが、時々ＴＶで見掛けることがあり、昨年頃より行って

みたいと思っていた中国・四川省にある桃源郷「九寨溝」（きゅうさ

いこう）と「黄龍」（こうりゅう）への８日間のツアーに参加した。

出発数日前頃から新型インフルエンザの流行のニュースが喧しく報

道されていたが、その時点では海外旅行としては一番無関係な方向

の様に思えた。しかし、過去の例に照らしてみると、情報が伏せら

れて表に出ていないだけかも知れないと言う一抹の危惧はあった。

結果的には、我々の中国滞在中には問題は全く無く、成都―北京経

由で帰国したが、帰国後３日ほどして、北米から成田・北京経由で

私が滞在していた「成都」に入った中国人が発病したことが報道さ

れており、危うくセーフであった。
　　

　　　　　　　　　　（中国地図）

　関空から出発して上海で乗り換えて四川省の都・成都に入るので

あるが、「関空～上海」よりも「上海～成都」の方が遠いのを機中で

地図を見て知り、中国の広さを現実の物として再認識した。成都は

三国時代の「蜀」の都であることは「三国志」などで御存知と思う。

現在は四川省の都で、北京・上海に次ぐ中国３番目の大都市である。

九寨溝・黄龍はチベット族の住む標高３０００メートルの世界で、

まさに「西遊記」の世界である。成都から「九寨溝・黄龍空港」へ

はジェット機で略真北へ３０分であるが陸路では１２時間を要する

と言う。

　一年前に四川大地震があった事など私の意識の中には殆ど無かっ

た。観光旅行なので地震の爪痕が目に触れることは殆ど無かったし、

九寨溝・黄龍は無傷であった。しかし、成都からの道路が地震で寸

断され、１年経った現在も復旧していないそうだ。そのため、成都

から九寨溝・黄龍へは空路でしか入れないのだそうで、世界自然遺

産に登録された中国屈指の観光地であるが、観光客が激減しており、

閉鎖されたホテルが沢山あるのが目に付く。
　　

　地震の他にもチベット紛争が尾を引いており、チベット族の居住

するこの地区への出入りのチェックは外国への出入り同様の厳しさ

である。九寨溝の入り口は万国博のゲートの様な感じであるが、パ

スポート提示と顔写真の撮影が行われるという有様である。日本人

観光客は、好いとなったらドーッと押しよせ、何かあるとピタッと

止まると云うのが常の様で、日本からの観光ツアーはこの１年全く

無く、日本の旅行会社各社共このゴールデン・ウイークのツアーが

その後の最初のツアーの様である。現地日本語ガイドが「１年振り

の仕事で嬉しい」と心から喜んでいたのが印象に残っている。

　九寨溝への入場者は嘗ては多い日には３万人に及んでいたそうで

あるが、我々が入場した１日目は４千人、２日目は６千であったと

ガイドが教えてくれた。私の目には結構人出はあったように見えた

が、さぞや以前は芋の子を洗う様な混雑振りの日々であったのだろ

うと想像される。
　　

　九寨溝から黄龍への移動の途中標高４２００メートルの峠をバス

で超えたが、写真を撮ろうと下車して一寸歩いたらしんどかった。

高山だらけで３０００メートル以下のピークには名前など付いてい

ないと現地ガイドが言う。

　九寨溝・黄龍は誠に美しい桃源郷で、これを政府が国の威信を懸

けて保全・管理の徹底に努めており、その投入エネルギーは甚大に

思える。此処ばかりはゴミの全く無いクリーンな世界であった。こ

れに比べたら富士山はゴミだらけと言う事になり、富士山の世界自

然遺産登録が難しいと云うのが頷けると言うものである。

　　

　桃源郷を堪能して「九寨溝・黄龍空港」へ向かうバスの車窓から

見えた「震災で被害は受けたが、四川は依然として美しい」と云う

意味合いの新しい大きな広告塔が印象的であった。

　　

　さて、最後は５月１０日（日）の岡山カヌークラブ恒例の旭川下

りである。天気上々の今回は老若男女入り混じった総勢２９人の大

所帯の賑わいであった。今回も新規加入があったが、カヌー仲間が

増えるのは嬉しい限りだ。
　　

　区間は金川から新大原橋直下までの良く親しんでいる定番コース

であるが、前日下見のため下っていると云うこの日のリーダー・Ｓ

ＯＮＥＤＡ氏他の周到さには頭が下がる思いだ。

　　

　また、中間点の昼食の場の設営や裏方を担った角南氏を尊敬せず

には居られない。今回は珍しく事務局・妹尾氏も久々の川下りを楽

しんでいるのは喜ばしい限りだ。今回は沈脱は無かったと思うが、

泳いでいる仲間を見掛けた様な気がする。
　　

　私は従来からの左の「おのおのガタ」の痛みに加え、右肘痛を病

んでおり、漕ぐ度に右肘が痛むので、今後も川下りを楽しむために

無理はすまいと、延々と続くと瀞場に入る前の昼食でリタイヤ―し

てしまった。「私の人生で、あとどれだけ川下りを楽しめるかな」等

と時々思う様になった今日この頃である。

　さて、来月は６月１３日（土）の吉井川下りである。有名な野田

知祐氏著「日本の川を下る」の「吉井川」の部分を読んで印象を悪

くしたせいもあるが、中々機会が無くて私の吉井川の経験は乏しく、

数年前にビーサイド・藤本氏や清流部の面々等と「苦木（にがき）

の瀬」を含む周匝（すさい）から佐伯辺りの短区間を下った１回し

かなく、殆ど何も知らない。今度は角南氏がどんな所へ連れて行っ

てくれるのか楽しみでワクワクしている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（５月２２日）　

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