「川下りは楽し・余談」   by  別宮 博一

S+D<聖バレンタイン・デーとホワイト・デー>

 最近は聖バレンタイン・デーに貰うチョコレートがメッキリ少なくなった。

若い頃は、大きな荷物になる程貰って家に帰り、誇らしげに子供たちや女

房に見せびらかしたものである。一方では、ホワイト・デーにはエビで鯛を

釣られる向きも含め、それなりに大変であった。ホワイト・デーの御返しに

「笑いのメッセージ」を付けていた時期もあったが、これが結構好評で、毎

年これを期待される向きもあった。例えば1998年はこんな具合だ。

   《日頃抑圧された中年男の心に秘めた真情を

      ホワイト・デーにことよせて吐露した快作!》

     『レたハレれたのタワゴトも

      かいうちなら良いけれど、

      い歳しながら、みっともない』

      言われてみれば、ごもっとも

      も『チョット』と手を伸ばして見れば

         『エッチ!スケベェ!セクハラ!ボケジジイ!』と

      びり・ののしり・さげすまれ、

          結局ションボリ萎縮する。嗚呼!

                        H.ベック

 チョコレートがもらえなくなったので僻んでいる訳ではないが、『職場で

のバレンタイン・チョコは、義理の要素が大きいと思うので、メタボりック・

シンドロームが問題視されている事も考え合わせて、菓子業界のコマーシ

ャリズムに踊らされて、チョコレートに終始するこの時季の愚かさから、そ

ろそろ抜け出さなければならないのではないか』と云う様な事を漠然と考

えていた。



  (図1 アンドラ公国国旗)

 1月30日のNHK・BSハイビジョンで「世界の小さな国」と云う10分

程の番組を偶然見た。「アンドラ公国」というフランスとスペイン国境に

ある横浜市程の広さで人口5万人程の小国の紹介であった。EUに加盟

していないこの国では、わが国の消費税に相当する付加価値税が無く、

世界中の一流ブランドを並べた店が軒を連ねており、隣のスペインやフ

ランスから年間1千万人の観光客が買い物に押し掛けて来るのだそうで

ある。


  (図2 地図)

 この国では4世紀の殉教の騎士に因んだ4月23日の『サン・ジョルデ

ィの日』には、恋人同士、或いは夫婦で、或いは愛しい人に、男は女に赤

いバラの花を贈り、女は男に本を贈るという習慣が続いているそうで、こ

の日には本は総て10%offになるそうである。チョコレートや菓子に終始

する我が国のバレンタイン・デーに比べ、何と美しくも健康的で知的な素

晴らしい習慣であることか。

 4月からは「特定健診」が始まり、「対メタボ」が叫ばれている現在、そ

して又、若者の活字離れが憂慮されている昨今の世情に鑑み、このよう

なアンドラ公国での方向にシフトするのが好ましいと思う。女は本に目を

向け、男は彼女に貰った本なら少なくとも年に1冊は本気で読むことが

期待されると思うのは早計だろうか?

 花屋さんと本屋さんの業界全体が結束し、一丸となって聖バレンタイ

ン・デーに合わせて全品10%offの期間を創設し、《聖バレンタイン・デ

ーとホワイト・デーには本や花を贈ろう》キャンペーンを張ってくれること

を期待したい。因みに、今日私は花を贈った。



                              (2008/03/14)




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