「川下りは楽し・余談」
by 別宮 博一
⑭＜京橋朝市・高梁川下り＞(写真①②)
あれ程見事に咲いていた岡山「後楽園」外の旭川東岸の土手
の桜も終わった。
さて、４月１日(日)の『京橋朝市』では、寝過ごして午前五時
半の集合時間には間に合わなかったが、至近距離に住んでいる
ので６時には会場に到着することが出来た。物凄い濃霧の中で
人々がうごめいているのが微かに見える光景が印象に残ってい
る(写真③④)
岡山カヌークラブの『カヌー体験会』は予想外に盛況で、幼児
から老人まで大勢の方々に楽しんで貰えたようだ。丁度、県会
議員の選挙運動期間中で、運動員を引き連れた立候補者が何
人か現れたので、「カヌーに乗って旭川の上から声を出しません
か。最高に目立ちますよ！」と誘ったところ、本気で取り巻きと
話合っている姿が見えたが、結局どの立候補者もカヌーには乗
らなかった。彼等は当選しただろうか？乗らなかった事を悔やん
ではいないだろうか？（写真⑤-⑩）
岡山で旭川河畔に住む様になって二十余年経つが、備中高
梁で子供の頃１５年を過ごし、一年中毎日高梁川が視野の中に
あり、小学生･中学生時代の夏は終日川で遊ぶなどして慣れ親
しんだ高梁川が、私には何と言っても一番しっくり来る川だ。特
段の用事がある訳ではないが、一日に一度は川を見に行くと云
うのが、一世代前までの生活の中にはあった。豪雨の後、高梁の
「方谷橋」の欄干から増水した濁流に飛び込むと云う暴挙を誇
らしげにやって見せる手合いが可也いたが、時々死者が出てい
た。こういった時には、大抵濁流の中に大きな丸太が流れて来
るもので、方谷橋の欄干から飛び込んで、これに取り付いて流
されながら川下の方で何とか岸に着け、丸太をモノにする猛者
を見掛けたものだ。（写真⑪）
旧高梁町のＪＲ備中高梁駅前を真っ直ぐ西に高梁川にブチ当
たった所に、「方谷橋」の一つ川下の橋の「高梁大橋」がある。こ
この少し川上からおよそ２キロ余りに亘り川上に向けて無粋な
屋根付きの城壁様の高い白い堤防が国道１８０号線沿いに造ら
れている。高齢の母が居るので、ここ数年私は毎週高梁に行っ
ているが、こんな物が出来たせいで、川が全く見えなくなってし
まっており、誠に残念でならない。母も川が見えなくなって寂し
いと言う。地元の年配の多くの人がそう思っている。川が生活の
中に無くなってしまったのだ。『城の町・備中高梁』をイメージし
て洪水に備えたと云う建前なのだろうが、本当にこれで良かっ
たのかと疑問に思う。そこで、私は中国の『万里の長城』になぞ
らえて、無用の長物と云う揶揄を込めて、『半里の長城』と命名
する。
これに比べ高梁大橋より川下側は鉄柵で高梁川が良く見
える。
風景の何と爽やかで心癒される物であることか！
更に言えば、ＪＲ備中広瀬駅辺りから川下側へ強烈な堤防が
現在建設中である。何処まで延びるのか知らないが、私が『石
庭』と命名（拙著「川下りは楽し」Ｐ．１０－１１）している辺りに向
かってドンドン延びて行きつつある。この堤防が既に出来上がっ
ている部分の国道１８０号線を運転席シートの位置を高くした
フォレスターで走って見たが、川面が全く見えなくなってしまって
いる。車で走っていて、川面が視野に入る１８０号線が私のお気
に入りで、心が癒されていたのに「どーして呉れるんなら！」と言
いたい。
さて、こんな私の思い入れのある高梁川の、カヌー・ツーリン
グが岡山カヌークラブで企画された。ＪＲ石蟹駅辺りから井倉洞
の１キロ川下まで下ると云う変化に富んだ楽しいコースである。
私は井倉洞から川下なら高梁川は隅々まで知っている積もりで
あるが、井倉洞より上流は下ったことが無い。何が何でも参加し
たいと思ったが、外せない所用と重なってしまった。スタートには
大幅に遅れることは判っていたが、行って見た。結局井倉洞から
の短区間のみしか参加出來なかったが、川面にカヌー群の姿を
求めて追跡途中の国道１８０号線上から、普段は撮れない上か
らのショットをモノにする事が出來たことでヨシとしよう。（写真
⑫-⑮）
さあ、ゴールデン・ウイークは若い仲間に混じって、熊野川水
系で、とことんカヌー三昧の日々を送る予定である。
（２００７／４／１８）
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